本日は、志鍼塾のテキストでも治療の中核となるところ、原点になるところについてお話します。
秘訣その①
秘訣その②
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構造物を作る五臓について
身体の構造物を作るのは「脾」と「腎」で、構造物を機能させるのが「肺」と「肝」です。身体を電球の仕組みにたとえると、電球そのものと線を作るのが脾と腎で、電球を点灯させるのが肺と肝というわけです。
私は、構造物を作る脾に問題がある「脾虚」です。そのため、食べ物がそれほど食べられず、食べたとしてもなかなか太れません。サッカー部に所属していた中学生のときから今に至るまで、そこは変わらない。食べても太らないというのは、構造物を作りにくいということです。
ご年配の方によくでる「腎虚」という症状は、骨粗鬆症や髪の毛のこしのなさ、更年期障害などにあらわれます。年齢を重ねるとともに髪の毛が細くなり、抜けていきますし、身長も低くなります。これは、構造物を作る脾と腎の機能が弱まることで、構造物が縮小したり、破壊されてしまうから。構造物の劣化にあたる動脈硬化なども「腎虚」の症状のひとつです。
脾と腎が働くのは、夜中の12時付近です。陰と陽とに分かれる時間に働くため、寝ている間に傷が修復されたり、身長が伸びたりします。修復と構造物の構築にエネルギーを使うとともに、余分なエネルギーをため込み、起きてから肺と肝で機能させます。
寝ている間は、肺と肝がさほど働いていません。身体が、修復や成長、発育に向かっていて、外邪には無防備な状態です。そのため、そこから外邪に入られやすくなってしまう。寝ている間に風邪をひきやすい、起きたときに喉が痛いというのはそのためです。
心に虚なし 腎に実なし
東洋医学には「心に虚なし 腎に実なし」という言葉がありますが、脳から脊髄にかけての中枢神経をつかさどっている「心」はずっと働き続けています。とても強い器官で「心虚」という状態にはなりづらいため、心を中心に施術することはほとんどありません。施術するのは、心臓に何らかの構造的な欠陥があるときか、統合失調症などを患っているときなどに限られます。
当院においでになる患者の90%は、肺と肝に何らかの原因がある症状です。これは、せっかくある構造物を機能させることができない、機能的疾患が主になっているということ。
そもそも、肺や皮膚、鼻といった「肺」がつかさどる部位は、空気(外気)に触れやすいところです。そのため、肺が弱い人は、外気の影響を受けやすくなります。外邪が入り込みやすいので、季節の変わり目に痛みが出たり、何らかの影響を受けてしまうのです。
外なる守りは肝 内なる守りは腎
「外なる守りは肝 内なる守りは腎」という言葉があるように、肝は、内部環境を大きな意味で整えています。「外なる守り」というのは、外部から入ってくる外邪を受け止めたり、戦っているということ。
肝臓には疏泄作用がありますが、この作用が働かなくなると、動けなくなります。これは、電球にほとんど電気が流れてこないというのと同じ。身体がほとんど動かなくなり、機能しなくなるため、外邪に入られやすくもなります。
脾と腎で作った構造物を肺と肝で動かすわけですが、構造物がしっかりしていてもその働きが悪いという問題を抱えている患者がほとんどを占めるため、肺と肝の施術を組み合わせることが鍼灸施術のスタンダードだと考えてかまいません。
もちろん、それぞれの疾患ごとにアレンジしていかなければなりませんが、施術における根本的なスタートはここでかまいません。この秘訣を知っておくことで、施術においての迷いもなくなるでしょう。
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