鍼灸学校に通う学生が今からできること

鍼灸学生

石丸昌志

東洋はり灸整骨院、院長の石丸です。当店は。2020年4月に3店舗目となる鍼灸院をオープンいたしました。今年7名の鍼灸師を雇い入れ、受付などのスタッフも含めると計30名の大所帯です。これは、大学病院や東洋医学研究所を除けば、鍼灸院のスタッフ数としては日本一ともいえる規模でしょう。こうした鍼灸院を営む立場から、鍼灸師を目指す学生に向けていくつかのアドバイスをさせていただきたいと思います。

学校では免許が取れればいい

鍼

まず学生の皆さんは、学校は免許を取るためだけの場所だと割り切る必要があります。鍼灸学校の先生の多くは、臨床経験がありません。結局は、授業をして給与をもらう会社員に過ぎず、鍼灸師として生計を営んでいるわけではないのです。

自ら餌をとる必要がある野生動物に私たちを譬えるなら、鍼灸学校の先生は、自動的に餌をもらえるペットです。鍼灸院を経営している先生からは臨床の話を聞けるかもしれませんが、そうでない場合は、あまり参考にはならないでしょう。私も学生時代に400回ほど質問しましたが、臨床に役立つような答えが返ってきたためしはありませんでした。

私は在学中、実技の点数はクラスでも最低ラインでした。学校の実技の授業は、ベッドがあってお客さま役がいる、最高の環境です。私はこの環境を、所属する勉強会で教えてもらった内容を復習する場として活用していました。学校で習うような低レベルの施術については無視するような、かなり生意気な学生でしたので、私のことをいまだに覚えている先生が少なくないかもしれません。

鍼灸師を育成する学校にとって、最重要事項は、国家試験の合格率を上げることです。決して、東洋医学を極めた鍼灸師を育成することではないということを覚えておいてください。

国家試験の合格率が上がれば上がるほど学校の評判が高まり、次年度の生徒も集まりますし、収入が上向くことにもなります。国家試験には、実技がありません。合格率を上げることに終始すると、必然的に実技の授業のレベルは低くなります。そもそも、13教科中10教科を西洋医学が占めているのですから、東洋医学を十分に活用できる鍼灸師を養成できるわけがないのです。ですから、専門学校を選ぶ際は、学費がいちばん安いところを基準にすればいいでしょう。学費がいくら高くても、そこに意味はありません。

学校では学べない東洋医学

東洋医学

では、どのようにすれば東洋医学を学べるのでしょうか。東洋医学を学ぶ際は、いい勉強会に参加し、治せる鍼灸師を目指すことが何よりも大切です。学生時代からいろいろな場所にアンテナを張り、賢く合理的に、効率よく学びを深める必要があります。私も、入学前の11月から勉強会に参加していました。専門学校の授業中も通学中も、勉強会の復習ばかりしていた記憶があります。学校での勉強は、免許を取るためのもの。免許さえ取れれば、点数が悪くても構いません。

また、病院を含め、さまざまな鍼灸院で経験を積むことも必要です。鍼灸院もさまざまです。いろいろなケースを見て、どういった施術でどれぐらいの割合で治っているのかを確認しましょう。もちろん、客の立場で施術内容を見ることもおすすめです。

よい鍼灸院の条件とは

鍼灸道具

私は鍼灸院をよくラーメン屋に譬えます。おいしいラーメンを作れるところ、つまり症状を改善させられるところが当然流行ります。学校の先生は、自分でラーメン屋を経営していない人が多いため、最低限の技術は教えられても、行列店を作ることはできません。また、ラーメンに味噌や醤油、とんこつ、塩などの別があるように、鍼灸にも、伝統的な施術をするところ、自律神経系を得意とするところ、スポーツ鍼を専門にするところ、マッサージと併用するところといった別があります。その中で私が学生の皆さんに強くおすすめするのは、古典的な臓腑経絡論に基づく施術を行う鍼灸院です。

東洋医学は、臓腑経絡論が全てといっても過言ではありません。全ての経絡に内臓の名前がついていることからもわかるように、東洋医学は内科の施術を得意としています。肩こりや腰痛、坐骨神経痛なども、東洋医学では内科の延長と考えます。

東洋医学でいう肝には、身体のすみずみにまで血をいきわたらせる「疏泄作用」があります。その働きが鈍ると、血の巡りが悪くなり、「不通即痛」という循環障害を引き起こします。これが、坐骨神経痛や頭痛、膝、肩、腰などの痛みの原因です。

スポーツ鍼で坐骨神経痛の症状が改善しても、肝の疏泄作用が低下したままの状態では、併発している頭痛はよくなりません。しかし伝統的な東洋医学なら、肝の「疏泄作用」を上げていくため、頭痛や生理痛、坐骨神経痛などが同時によくなります。

さまざまな鍼灸自体が東洋医学の理論をもとにしたものではありますが、同じような効果を得られるわけではありません。バットとグローブがあれば野球のルールで野球をすることが自然なように、鍼とお灸があれば東洋医学の理論で施術をするのが自然なのです。

アンテナを広げて鍼灸師としての能力を高めよう

石丸昌志

同じ味噌ラーメンでも一店舗として同じ味を出す店がないように、古典的な鍼灸院であっても、繁盛しているところもあれば閑古鳥が鳴いているところもあります。もしあなたに余裕があるなら、さまざまな鍼灸を見てまわって、どこがいちばんよいのかを見てまわったほうがいいでしょう。時間に余裕がない場合でも、治せる鍼灸師の勉強会には参加するようにしましょう。

鍼灸師として独り立ちするためには、よい施術ができるだけでは不十分です。お客さまとの話し方や態度、鍼灸院の立地、認知度など、いくつもの要素が絡んできます。ただ、学生の立場にいるうちはまず、いい勉強会に参加し、治せる鍼灸師を目指すことが大切です。学校を出ただけでは、何にもなりません。そこことをまず自覚し、向上心を持って取り組むようにしましょう。

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