肺が弱まるとどのような症状が表れるのか

鍼灸師

石丸昌志

志鍼塾、塾長の石丸です。

本日は五臓六腑の「肺」、肝心脾肺腎の「肺」についてお話しします。

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身体の各部位をつかさどる五臓六腑について知る

今の東洋医学概論で肺について言及されるとき、その対象となるのは宣発(せんぱつ)作用だけです。もちろん宣発作用も重要ですが、臨床で幅広い症状を扱おうとする場合は、もう少し幅広く肺についてのイメージをもっておかねばなりません。

身体の各部位はそれぞれ、つかさどるところが異なります。耳全体は腎ですが、内耳は腎、中耳は脾、鼓膜は肝、外耳は肺がつかさどっています。身体の中心部を担うのは腎で、骨なども腎がつかさどっています。

その一方で、身体のいちばん表層を担うのが肺です。皮膚や鼻なども肺の担当で、邪気が入ってくるとくしゃみをするというのは、宣発作用で邪気を外に出しているわけです。風邪をひきやすいというのは、腠理(そうり)が開いて外邪が入ってしまっているから。末端冷え性などは身体の外側が冷えている状態ですが、その原因を肺に見出すケースが大多数です。

身体の表層を担う肺が弱まるとどのような症状が出るのか

肺は気をつかさどっているため、肺が弱ると気の病がおこります。たとえば、動悸がしたり不整脈があったり、ゲップやおならが出やすくなったりします。また、「久しく寝れば肺を病む」といわれるように、朝に何らかの症状が出ることが多くなります。色体表を見ると、肺は大腸と陰陽関係にあるのがわかるでしょう。肺は空気に触れるところですが、大腸もまた肛門で空気に触れます。

朝の腰痛は、肺虚だと判断しなければなりません。朝に何らかの痛みがあっても動き出すと痛みが治まるという場合は、腰そのものが壊れているわけではないということ。構造的な痛みではなく、循環の悪さが痛みになっているわけです。

「腰痛=腎虚」だと判断しがちですが、腎虚の腰痛は骨が原因になったものです。たとえば、骨粗鬆症や圧迫骨折、分離症、すべり症といった状態で、骨に原因がある、気質的な疾患ということ。肺虚による腰痛と、腎虚による腰痛とを混同してはいけません。

肺の問題を肺の問題としてとらえる重要性

ある患者がさまざまな症状を訴えたとします。鼻がおかしくて、足の先にもまめのようなものがあり、お腹もおかしい――私たちはこういう場合、さまざまな症状の原因が肺にあると見ます。

鼻の調子が悪いのは肺虚からで、その循環の悪さがさまざまな症状として表れていると。心臓から遠い足の先のまめも、肺虚を改善すればよくなるでしょう。お腹がおかしいのも、大腸と陰陽関係にある肺のせいです。この他にも、肺虚が原因の症状はさまざまです。

円形脱毛症や朝方の腰痛、乾燥肌、末端冷え性、動機など、肺が弱まることで多くの症状が出ます。朝方の腰痛を何とかしようとマッサージを受けても何の解決にもなりません。

「森を見て木を治す」東洋医学を可視化するために

「木を見て森を見ない」と言われる西洋医学では、それぞれの症状を違う科で診ます。鼻を耳鼻科が、足の先を整形外科が、大腸を胃腸科が診る。どれも肺虚が原因なのに別々に診ようとするため、何も改善しないのです。

一方、「森を見て木を治す」のが東洋医学です。主訴に加えて、どんな症状があるのかを一つひとつ聞き取り、身体がどんな状態なのかを確かめていきます。それらの症状から、身体のどこにどんな問題があるかがわかれば、改善は難しくありません。

志鍼塾では、身体の状態と症状の関係を可視化できるテキスト作りを目指しています。東洋医学の重要なポイントをできるだけわかりやすく示し、実際に効果を実感できる仕組みを作ることで、日本の医療を変えたいと考えています。

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