鍼灸師はあまりLTVなどを考えないほうがいい?【鍼灸院経営の話】

経営

志鍼塾 塾長の石丸です。

今回は「鍼灸師はあまりLTVなどを考えるな」についてお話ししたいと思います。

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LTVがはびこる業界に驚き

皆さんはLTVという言葉を聞いたことがあるでしょうか?学生の方はあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、ご存じの方も多いかもしれません。LTVとはLife Time Valueの略であり、患者様が一生のうちに自分の鍼灸院にお金をいくら使ってくれるのかという意味です。

私はこのLTVという言葉を鍼灸院業界の人から初めてきいたときにそんなことを考えて施術をしているのかと非常に驚きました。自分の鍼灸院がその患者様からどれだけの利益を得られるか、つまりお金のことしか考えていないわけです。この考え自体はもちろんですが、鍼灸院業界にそんなことがはびこっているのかと驚いてしまいました。

アパレルや物販など物を売る業界であればこのような言葉も理解できます。しかし、われわれの業界は鍼灸治療であり、基本的には困っている方がこられます。その困っている方に対して、一生のうちにお金をいくら使ってくれるのかを考えながら施術する鍼灸院に自分が本当に困ったときに行きたいでしょうか。

私は、そのような鍼灸院には絶対に行きたくありません。だからこそ、この言葉が鍼灸業界にはびこっていることに驚かされました。

お金が先行されるLTVの活用

よくお話しますが、当院は飲食業にたとえると家族経営の定食屋さんのような経営をしています。どこか温かい患者様に喜んでいただける鍼灸院であり、可能な限り患者様の許容できる金額で鍼灸施術を提供したいと考えています。

当院は来院される患者様が最優先の定食屋さんですが、LTVの視点では飲食業にたとえると何百店舗もかかえるチェーン店のような経営になるでしょう。

マーケティング、広告といった心がない世界のツールによってスタッフにいろいろな指導を行い、システマティックにすすめるうえでLTVは使われているのだと思います。ですので、それを望む方は大いに活用すればよいと思いますが、そうするとお金が先行されてしまいます。

「三方よし」と「先義後利」

これに対して志鍼塾では「三方よし」と「先義後利」をうたっています。

三方よしとは社会よし、患者様よし、鍼灸院よしであり、先義後利とは先に義理を果たすと利益は後からついてくるという意味です。この先義後利は「商売を知る者は先義後利を知っている」ともいわれ、長く続く企業は先義後利、利他の精神があります。

このことから私はこの「三方よし」「先義後利」を信じており、志鍼塾でも伝えています。

小さな鍼灸院ほどLTVが足かせになる

ここで私がもっとも伝えたいのは、小さな鍼灸院ほどLTVばかり考えているとそれが足かせになるということです。そういったものがマインドにあるとやはり患者様に伝わってしまいます。

LTV自体は知っていてもよいと思います。しかし、今回のタイトルにもあるとおり「あまり考えるな」ということです。知識としてはLTVを理解し、心と頭の大半は「世のため、人のため、患者様のため」であって欲しいと思います。その結果、患者様の症状が改善されたときには周りの大切な人を連れてきてくれます。長期的にみるとその方が強いと私は思います。

LTVばかりを考えていると、患者様もその「気」を感じてしまい、周囲に紹介しようとは思えなくなります。ですので、鍼灸院の規模が小さければ小さいほどあまり考えすぎない方がよいと私は思います。

完全にシステマティックにすすめたい方はLTVを重視し、お金と経営を最優先に考えるとよいでしょう。しかし、私は治療家なのでこの言葉を聞いたときには驚いてしまったわけです。

学生の皆さんはあまり聞いたことがない言葉かもしれませんが、私は小さな鍼灸院ほどLTVを重視すると自らの首を絞めることになるのではないかと考えています。

LTVを主軸にしてはいけない

LTVを知識として理解することは大いに結構ですが、あまりそちらにマインドを傾けると患者様には伝わってしまいます。そして、そんな鍼灸院に通いたいと思う患者様はいません。

「当院はLTVをかかげています」と公言している鍼灸院には誰も行きたいと思わないでしょう。LTVのようなHPなどに載せられないことを主軸にしてはいけないわけです。

鍼灸院の思想や方針として表に出せないことはあまりマインドに入れるべきではありません。患者様に嘘をつくことにつながり、それはいつの日か必ず患者様に伝わってしまいます。

ですので、LTVのような考え方は理解だけにとどめ、マインドに入れないことが皆さんにとってのメリットになると思います。

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