このままで鍼灸院を開業できるのだろうか―それぞれの立場に即して答える

経営

お灸施術

志鍼塾、塾長の石丸です。本日は、鍼灸師の免許をとったあと、さまざまな立場で働きながら「今のやり方のままで開業できるのだろうか」と悩んでいる方に向けて、自分なりの考えをお話ししたいと思います。

私は、柔道整復師の資格も持っていますが、自分自身は鍼灸師だと思っています。そのため、当店では鍼灸しか行っていません。そのあたりも考慮したうえで、お読みください。

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鍼灸整骨院で働いている人の場合

鍼灸整骨院で働いているなら、そのほとんどは保険診療をしているでしょう。窓口負担は1,000円以下で、そこに鍼を加えても1,500円程度。多くても2,000円、2,500円にしかならないはず。

こういった鍼灸整骨院で何軒か勤めたあと、整骨院でマッサージをするといった流れもありますが、柔道整復師の免許がない限り、同じシステムで鍼灸マッサージをすることはできません。システムとして厳しいうえに、こうした店舗の数が非常に多くて競合ばかり。

さらに、それらの店は全て、肩こりや腰痛、しびれ、膝痛といった痛みの症状をターゲットにしています。何かしらの特徴を出し、その効果をアピールできない限り、今後は厳しい状況にあるといっても過言ではないでしょう。

整形外科で働いている人の場合

整形外科で働いている人の場合は、システムが全く異なります。

整形外科での画像診断、投薬はまったくできません。整形外科で自費の鍼をしていた場合も、整形外科だからこそ人が集まっていたわけで、医師免許と鍼灸師免許には天と地ほどの違いがあります。たとえ鍼灸院を開業し、鍼を行ったとしても、整形外科で勤めていたときと同じだけの人が集められるわけではないでしょう。

医師だといえば知らない人はいませんが、鍼灸師の知名度はさほど高くありません。職業について尋ねられて鍼灸師だと答えても、マッサージ師と間違えられたり、鍼灸師そのものを理解しておられない人が多数。これが現実です。

鍼灸マッサージ院で働いている人の場合

鍼灸マッサージ院のメインは、マッサージです。しかしこうした鍼灸マッサージ院の中には、60分2,980円というマッサージ院やチェーン展開している店がある。そうした店に、個人で対抗できるわけがありません。

チェーン店には宣伝能力があり、十分な従業員を確保しているからこそ、薄利多売の商売ができるわけです。薄利多売のチェーン店に対抗できるような、特別なマッサージができるでしょうか。

私は、チェーン店でも個人でも、できるマッサージ自体はさほど変わらないと考えています。マッサージに通うお客さまは、受ける際の気持ちよさや慰安を求めておられることが多いのが実際でしょう。

深刻な症状で苦しんでおらず、マッサージの質のよさを求めているわけではない。そんな中で鍼灸マッサージ院で1人で経営し、60分2,980円のチェーン店に勝てる可能性は低いと言わざるをえません。

鍼灸整体院で働いている人の場合

鍼灸整体院も、数の多さが際立っています。ここで行うのはマッサージや整体、鍼灸などですが、その大半は整体をメインにすえています。

メインとなる整体は、無資格者と競合することになります。鍼灸マッサージ院も大半がそういった状況にあるのかもしれませんが、たとえマッサージ師の免許をとっていたとしても、そのメリットは往診時に保険がつかえるということくらい。無資格者と競争せざるをえないという事実には変わりがないのです。

鍼灸サロンで働いている人の場合

鍼灸サロンは、足裏マッサージやアロマなど、エステのような施術内容を取り入れていることが多いようです。それもひとつの取り組みですが、現状では鍼灸サロンの数が多く、ここでも無資格者と争わなければなりません。

訪問鍼灸で働いている人の場合

訪問鍼灸に関して、私はあまりよい印象を抱いていません。

寝たきりの人や家から出られない人には、基本的に医師の同意書があれば、往診することができます。往診先で少し鍼をうつわけですが、寝たきりになっているような人や家から出られないような人は、そんなものでは治りません。鍼灸の施術をしてもらいに歩いてくるような人でもなかなか治らない人が大勢おられるのですから。

私も以前、当店の患者さまからのご依頼を受けて、何度か往診させてもらったことがあります。通院しておられたときとは比べものにならないくらい身体が弱っていて、治りも悪くなっていました。

往診先の方は、身体が弱っているうえに昇降ベッドなどもなく、条件も整っていません。それに加えて、10分から15分ほどしか時間をかけていない店も多い――そんな中でなかなか症状が改善しないとわかっているにもかかわらず、往診費でもうけようとする店があることを少々腹立たしくも感じているのです。

美容鍼灸や不妊鍼灸を行っている人の場合

美容鍼灸や不妊鍼灸を行っている場合は、今まで挙げた例に比べると、独占的な部分が多いのかもしれません。

しかし以前当店の面接に、「美容鍼灸専門医で働いていますが、明らかに身体の調子が悪い方がいらしても美容鍼灸しかできない。身体の施術ができるようになりたいと思って」といってきた人がいました。

身体をみる技術があれば、美容鍼灸や不妊鍼灸に戻ったとしても必ず役立ちます。健康な男女のもとに子どもが生まれやすくなるというのは、絶対的な事実です。まずは健康な身体を作り、不妊鍼灸にあたるとさらに効果が得やすいでしょう。

何かを専門にするのは少々もったいない。それ以外も治せる鍼灸師になっていただきたいと思います。

お困りの症状を確実に改善し、業績につなげる

鍼灸院にはや病院や鍼灸整骨院、整骨院、漢方など、さまざまなところで治療されたもののなかなか症状が改善しないという方がこれらます。

症状が出始めてからかなり時間がたっているケースも多いのですがそれだけに、鍼灸院の施術で効果が出たときの喜びようは大きなものです。だからこそ、鍼灸院にこられる本当にお困りの方の症状を改善できれば、業績はゆっくりでも確実に伸びるのです。

町田の東洋はり灸整骨院は、これまで13年近く営業してきました。最近はコロナの影響も少々受けていますが、それでだめになるようなことはありません。土曜日なら140人くらい、平日は100人くらいが来店されていますが、マンションの1室からそうなるまでにおよそ13年かかったということです。

実力のある鍼灸師がスクラムを組む重要性

かつて私が働いていたマッサージのチェーン店は、手広く営業していて、当時は7店舗ほどでした。ところが、今は3店舗になっています。また、最近は、名高い整骨院がつぶれました。つまり、堅実に着々と営業していても、業績が伸びないこともある。

私はこれまで、医師や病院が結果を出せない部分をターゲットにして、何とか結果を出そうと頑張ってきました。私たちは、無資格者ではありません。国家資格をもつプロです。同じ志をもつ同業者同士が円陣を組んで協力できればいいと思うのですが、現状はそうなっていない。

だからこそ私は、この志鍼塾を通して有志を募り、着実に治せる治療家集団となってスクラムを組み、医師や病院に対抗したいと考えています。

病院や医師に治せない症状こそ鍼灸師が治す

私たちは、多くの施術院がターゲットにするような層をターゲットにしてはいけません。医師や病院が治せない人たちは数多くおられます。この人たちを対象に、病院では手の出しようがない慢性病の症状を改善する。私たちの施術なら、慢性病の90%は改善できます。

こうした姿勢で施術を続けるとどうなるのか――その証明が、東洋はり灸整骨院です。当店が着実に業績を伸ばしてきたのは、常に「対医師」「対病院」を意識してきたから。

整体やマッサージ、鍼灸整骨院、整骨院、カイロなどの治療院と新規顧客を取り合うのではなく、病院にかかってもよくならないとお困りの患者さまをお助けしていくことが、鍼灸院を開業するに際して大切なことです。

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鍼灸師の地位向上と東洋医学の普及を目指し、仲間と共に成長していきましょう。

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