本日は、「東洋医学を一番勉強しているはずなのは鍼灸師ということは忘れないで」についてお話します。
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鍼灸師と東洋医学
免許を取る上でのボリュームから言えば、鍼灸師が一番東洋医学を勉強していると思います。
2001年以降は医学部で東洋医学が必須になったり、薬学でも必須になったり、看護師さんも少しは勉強されると思うのですが、免許を取る上での教科数に対してのウエイトからすると、鍼灸師が一番東洋医学を勉強しているはずです。それを鍼灸師の皆さんは忘れないでほしいです。
鍼灸の歴史
歴史の本から抜粋してお話します。
大宝律令という、奈良飛鳥時代に制定された法律があります。その中に、鍼灸師になるための教科が書いてあります。素問、黄帝神経、明堂、流中図、こういったことを勉強して鍼灸師になっていたわけです。この時代は西洋医学がないので東洋医学ばかりです。鍼灸師は東洋医学を勉強して、鍼灸をやっていました。
それから時代は過ぎて、江戸時代末期が日本国内で一番鍼灸が栄えており、日本国内95%くらいの医療は鍼灸と漢方でやっていました。
しかし明治維新の際に、文化だけではなく医学も西洋化ということで、鍼灸と漢方が隅に追いやられました。西洋医学が海外からどんどん入ってきて、西洋医学を勉強した者にのみ医師免許を与えるということになり、鍼灸と漢方は西洋医学を勉強した医者が処方したら使っていいとされていました。そうすると西洋医学しかやっていない医者が東洋医学を積極的に活用するわけはありません。これは事実上の撲滅でした。
イメージとしては、日本国内の飲食店が95%和食だったのに、明治維新の際にいきなり国側からハンバーガーショップ・ステーキ屋さん・フレンチ推奨みたいな感じで、和食が排除されたというところです。
GHQからも鍼灸やお灸はやめなさいとあり、東洋医学は本当に撲滅されかけていました。日本国内で1500年の歴史があったものを、いきなり排除したのです。
鍼灸を存続するために
しかしよく考えてください。和食には和食のいいところがあります。洋食には洋食のいいのところがあります。つまりどっちが優れているではなく、それぞれ独立したいいものなのです。
西洋医学は救急救命、外科、細菌感染症、検査ができる、1型糖尿病、あとは透析が必要など、元々戦争医学なので生きるか死ぬかを対処するのが得意です。
東洋医学は慢性症状がとても得意で、加えて病気にならない体づくりが得意です。
2つ独立したいいもので、どっちが上とか下ではありません。例えば風邪を引きやすい人がいて、西洋医学に頼ったらつらい症状は軽減しますが、引きやすい体質は改善しません。東洋医学に頼って大対や風門などのお灸をすることによりその体質が改善します。
GHQで医療が西洋化し、鍼灸も存続するために仕方なく、西洋医学を教科書に入れました。あとは科学的根拠を出して鍼灸を排除されないように努力してきた背景があります。鍼灸も西洋医学的な側面を政府に認めてもらっています。
そして鍼灸が発展するために
しかし鍼灸の良さを一番発揮できるはずなのは、1500年間の歴史がある東洋医学をベースとした鍼灸に決まっています。もちろん近代的な、科学的な療法も交ぜてもいいですが、ただ根底は東洋医学という理論で発展してきたわけです。それを鍼灸師の皆さんは再認識しないといけません。
私が思っていることは2つ
1つは、もし今後漢方や東洋医学が盛り上がって、鍼灸も盛り上がって、国が鍼灸ももっと頑張ってくださいと鍼灸師を優遇する制度を与えてくれたとしても、今のこの鍼灸業界だとしょうもないことしかできないということです。政府が国レベルで鍼灸を優遇してくれる時代が来た時に、今のままだとマッサージの延長くらいの効果の薄いものが鍼灸として存在してしまう危惧があります。
もう1つは、多くの鍼灸師が東洋医学に目覚められて、国内10万人の鍼灸師みんなで東洋医学の良さを本気で日本全国にうたえば、世の中が変わるだろうということです。
現在資格では地位の低い鍼灸師ですが、本来は西洋医学にも並び立てるということに気づいてほしいです。東洋医学は可能性があるものなので、希望を持って東洋医学を実践してほしいです。
繰り返しますが、東洋医学を一番勉強しているのは鍼灸師であることを忘れないでください。
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鍼灸師の地位向上と東洋医学の普及を目指し、仲間と共に成長していきましょう。