志鍼塾 塾長の石丸です。
今回は「開業に踏み切れる要素」についてお話したいと思います。
開業には非常に勇気が必要かと思います。開業の際は借金をする場合もあり、ある程度の余剰資金があったとしても最初は出ていく一方になってしまいます。マンションの一室などであれば少し安くなるかもしれませんが、最近ではとくにインターネット関係に力を入れなければきびしい状況です。この点も加味すると最低でも200~300万円はかかるのではないでしょうか。
私が20年ほど前に開業した際は84万円ほどかかったと記憶しています。今とは時代が異なりますが、私が開業した20年前の経験を含めてお話したいと思います。
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20年前の開業事情
私が開業した理由は、当時、自分よりもダメな人が開業していたからです。ダメというのは、ダメ人間という意味ではありません。私は当時、完全歩合制のマッサージ店で鍼灸を施していました。ここで一緒に働いていた私よりも成績がよくなかった人が開業したことで「自分にもできるのではないか」と思い開業を決めたのです。
私の時代はこのような感じでしたが、現在は時代が変わっています。私が開業した当時はホームページがない鍼灸院も多く、あったとしても顔写真も載っていない簡素なものでした。紙媒体のホットペッパーが街で配られているような時代で、YouTubeやSNSはもちろんスマートフォンもありませんでした。
それに加えて鍼灸を行う人も少なかったこともあり「自分よりもダメな人が運営できているなら自分もできるな」という考えで開業を決めたわけです。
しかし、そこから時代は大きく変わっているので、今現在、開業する際に必要となる3つの要素についてご説明したいと思います。
①集客力
まず1つ目は、集客力です。私自身はあまり好きな言葉ではありませんが、きれいごとでは経営は成り立ちません。たとえ病院であっても患者が1人もこなければつぶれてしまいます。当然ですが患者がこなければ成り立たないわけです。
この集客のために認知度を上げることが非常に大変な時代になったと感じます。とくに人気エリアでは盛んな鍼灸院もあるので、集客力を上げるためには思いつきで開業場所を選んではいけません。
いろいろと調査をしたうえで「ここで開業すれば勝てる」と思える場所を探す必要があります。ネット上のポータルサイトなどを参考にある程度の需要と人口、人の流れがある場所でつくり込んでいる競合店が少ないエリアに入り込むとよいかと思います。
ただ、空き物件を探すのもかなり大変なので開業はいろいろな意味で大変だと思ってください。
②通院指導力
2つ目は、通院指導力です。もちろん無理やり患者を呼ぶわけではありませんが、通院指導力は非常に重要です。基本的に鍼灸院にはいろいろなところに行って治らなかった人しか来院しません。このことから「最低6回は通って変化をみてください」という形で1回目にきた患者にはわかっていただかなければいけません。
通院指導力とは要するに皆さんの佇まいです。鍼灸院の構えや内装、ホームページに加えて皆さんの佇まいなどのすべての要素によって来院された患者に「引き続きお願いしてみようかな」と思わせなければいけません。1度の来院でこられなくなってしまうと非常に厳しいと思います。
町田本院でも1人の患者が来院されるのに広告費がおよそ7,000円かかっています。7,000円かけてきていただいているので1回の来院ではマイナスになってしまいます。
また、当院では取り扱っていませんが、回数券も通院のモチベーションのひとつにはなるかもしれないのでそういった意味ではよいのかもしれません。
③技術力
そして3つ目は、技術力です。来院、通院していただいても治せなければ患者は不満を抱いてしまいます。ですので、本来は技術力がもっとも重要です。しかし、どれだけ美味しいラーメン屋であっても人に知られなければ誰も来店しません。残念ながら人に知られないことはないことと同じになってしまうわけです。現在、鍼灸院業界も激戦なのでここは難しいところかと思います。
技術力を生かすために
開業に踏み切れる要素としては、集客力、通院指導力、技術力の3つが整うことだといえます。また、この3つがきちんと完遂できればうまくいきます。当然ですが、患者が来院し、リピートしてくれ、しっかり治すことができればまた人を呼んでくれます。これによっていい流れができるとうまくいくでしょう。
開業にあたってはこの中でも集客力がもっとも大変な点になるかもしれません。出店エリアや出店県などにもよりますが非常に競争が激しい時代です。集客力をしっかりと固めたうえで回数券なども視野に入れて通院指導力を高めていきましょう。
もちろん患者様を治せる技術力がもっとも重要ですが、技術力を発揮するためには集客力と通院指導力も必要だと考えてください。
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鍼灸師の地位向上と東洋医学の普及を目指し、仲間と共に成長していきましょう。