志鍼塾 塾長の石丸です。
今回は鍼灸師向けに、最低限知っておくと役立つ鍼灸の歴史について詳しく解説していきます。
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鍼灸の神髄を提供できるのは東洋医学のみ
まず、これから話す内容に誤りがありましたら、ご指摘をお願いします。また、鍼灸の歴史に詳しい方は、コメントで教えていただけると幸いです。
私自身は、鍼灸は東洋医学を基礎としてやるべきと思っています。なぜなら鍼灸は、東洋医学のルールを元に積み重ねてきた施術の歴史があるからです。だからこそ東洋医学の鍼灸は、鍼灸の神髄をお客様にご提供することができます。
しかし、鍼灸専門の講師でも東洋医学の施術法を知らず、開業したことのない人がほとんどのため、東洋医学の良さを知らない人が多いのです。
2回の断絶の危機を乗り越えた東洋医学の素晴らしさ
東洋医学は約1400年前の600年から618年当時、中国大陸で栄えた隋という国に外交に行った『遣隋使』によって日本に伝えられました。さらに隋が滅んだあとの唐にも遣唐使を派遣し、618年から838年の間も交流を持っています。
そして江戸時代中期から末期までは、東洋医学全盛期の時代です。東洋医学はオランダ語を介して日本に伝わった西洋医学の学問・技術である『蘭学(らんがく)』とも切磋琢磨をし、麻酔剤の開発や世界初の乳がん摘出手術を成功させています。
また、現代では白内障は外科手術で治療をしますが、この時代は鍼灸と漢方で改善させていました。
しかしここで、1回目の東洋医学断絶の危機が訪れます。1868年(明治元年)に、日本は西洋崇拝の潮流に押し流される形で、文化だけでなく医学も西洋化することになります。
これにより富国強兵を目指す新政府は、漢方医学廃絶の方針を選択し、東洋医学の衰退が始まりました。明治維新の期間は諸説がありますが、これらは1831年(天保4年)から1890年(明治23年)の間に起きた事柄の総称です。
そして1883年(明治16年)には、西洋医学の国家試験に合格しなければ医業開業の許可を与えないとする医療免許規則が制定されたため、東洋医学は技術のみでの開業ができなくなりました。
それから東洋医学の漢方は、ごく一部の人たちによって民間レベルで細々と伝えられていきます。生計の手段として、盲目の鍼灸師の活動は黙認されていたので、こちらも細々と存続していきました。
さらに第2次世界大戦敗戦後、GHQのマッカーサーが鍼灸治療を問題視し、厚生省(現在の厚生労働省)に対して、『鍼灸禁止令』を勧告する寸前まで陥ります。
しかし、鍼灸の治療を科学的に理論づけて説明した『石川日出鶴丸(いしかわ・ひのでつるまる)』という鍼灸存続に尽力した方によって、東洋医学は2回目の断絶の危機を乗り切ることができました。
鍼灸の歴史に詳しいお客様の話によると、マッカーサーには分野ごとに多くの通訳官がいたそうです。鍼灸禁止令を出すか否かの瀬戸際の際も、マッカーサーは東洋医学に理解のある医者と通訳官の意見を介して存続の判断をくだしました。
このときの二人の意見がなければ、東洋医学はなくなっていたかもしれません。
昭和に入り、東洋医学の鍼灸は息を吹き返し、広まりを見せます。『昭和鍼灸』という本は、大正から昭和にかけて鍼道に命を賭けた方について記す労作です。
ほかにも古典鍼灸術を研究した『柳谷素霊(やなぎや・それい)』先生や、柳谷の弟子である『岡部素道(おかべ・そどう)』先生、『井上恵理(いのうえ・けいり)』先生、『本間祥白(ほんま・しょうはく)』先生など、鍼灸にはたくさんの先輩方がいらっしゃいます。
そして、私自身も尊敬する東洋はり医学会の元会長の『福島弘道(ふくしま・こうどう)』先生たちが古典に立ち返ろうと奮闘し、東洋医学的な鍼灸を再燃させました。
昭和・平成・令和と歴史は移り変わっていますが、医療は科学的根拠を示すことが必要不可欠です。そのため、鍼灸を存続するためにも、鍼灸学校で教えている内容の大半は西洋医学となっています。
悲しいことではありますが、こうした学校で東洋医学に基づいた勉強することはほとんどありません。ただし、筑波大学では鍼灸に対して、科学的な根拠を示すことに力を入れているようです。
『見て刺す』から『触って刺す』に変化した鍼灸
701年、日本で初めてできた法律は『大宝律令』です。その中に、鍼医師の修行年数は7年間という記載があります。
江戸時代までは鍼灸の免許制度は曖昧で、『私は今から鍼灸師だ』と言えば鍼灸師になれました。しかし盲人が鍼灸を行うようになり、『見て刺す』から『触って刺す』技法に変化を遂げたのです。
慢性症状や体質改善もできる東洋医学はすばらしい
鍼灸は東洋医学を基礎としており、慢性症状や体質、原因不明の不調である『多愁訴(たしゅうそ)・不定愁訴(ふていしゅうそ)』などの改善を得意としています。これらの症状は、いくら病院や治療院に通っても治すことはできません。
東洋医学を勉強して、しっかりと東洋医学を実践した鍼灸師だけが改善へ導くことができるのです。
また、東洋医学を勉強することで治療院の発展や社会貢献、やりがいも見つかります。しかし、歴史的背景があるので、鍼灸の学校の先生でさえも西洋医学を重視するのは残念でなりません。
東洋医学専門の鍼灸をしているところはまだ少ないですが、病院や治療院が治せない多くのお客様を改善させることができます。 東洋医学の素晴らしさは、お客様の症状改善を通じて知れるようになるので、ぜひ東洋医学を勉強してほしいと思います。
伝統鍼灸を学びたい方は志鍼塾へ
志鍼塾では、東洋医学の歴史から正しい鍼灸の知識まで、経験に基づいた技法をお伝えしています。東洋医学や鍼灸について、本気で学びたいと思う方は伝統鍼灸の治療家集団の志鍼塾まで、お気軽にご相談ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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鍼灸師の地位向上と東洋医学の普及を目指し、仲間と共に成長していきましょう。