気と精について

鍼灸師

お灸施術

志鍼塾、塾長の石丸です。

「鍼灸師の教科書には気と精が物質だとあったが、どうも納得できない」といった質問をいただきました。本日は、気と精についての私なりの見解をお話しします。

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「気と精」は「陰と陽」の関係にある

私は、気と精は陰と陽の関係にあると考えています。陰が材料だとすると、陽はエネルギーです。

気と精について、蛍光灯をたとえに説明してみましょう。蛍光灯が光るのは、線があり、電力があってこそ。精は、蛍光灯そのものと線を作る材料です。気は、電力つまりエネルギーのこと。そう考えると、精は物質ですが、気は物質ではありません。

教科書にはよく、気、血、水といった言葉が出てきます。これは、身体が気・血・水でできていると東洋医学では考えるから。ここでいう血と水は物質で、気はエネルギーです。そして、血と水を作り出すのが気です。それと同じように、気があるからこそ精もできる。血と水は気があってこそ作り出され、気があってこそ動く。つまり、気がもっとも重要だとされるわけです。

鍼灸が得意とするのが気の治療

気について考えてみるため、気がつく言葉を挙げてみましょう。「病気」は「気が病む」と書きます。「元気」や「気迫」「雰囲気」「気が合う」「気を遣う」といった言葉もあります。「気配」や「空気」を感じることもあるでしょう。そこに確かにあるものの、見ることはできない。気とは、そんなものです。

私は経絡治療を学んできましたが、その世界では、気を得意とするのは鍼灸で、血と水を得意とするのは漢方だとされています。しかし、気がなければ血や水はできず動かすこともできないため、鍼灸治療に利があるといってよいかもしれません。

私が鍼灸に携わった当初は、内科疾患には漢方のほうが有利かもしれないと考えていました。服用する分、身体の内側から効いていくように思っていたのです。しかし実際に数多くの施術を行った結果、漢方より鍼の施術で効果が出るケースのほうが多くあります。実際に漢方が得意とするのは強いむくみですが、むくみの改善は鍼でも可能です。また、血の流れが滞る「瘀血(おけつ)」の改善に関しては、漢方の優位性が高いため、私は鍼と併用して改善をはかっています。

東洋医学の実践から自分なりに体系化する

気と精について質問された方は、教科書の記述が納得できないとのことでした。私も、「元気」の気が物質かと尋ねられたら、違うと思います。しかし、「空気」の中の成分は物質かもしれないとも思います。

教科書の内容は、東洋医学という宇宙の一部を切り取ったものです。私の師は半世紀以上も鍼に携わった方ですが、「長い間東洋医学をしてきたものの、よくわからない」とおっしゃっていました。つまり、追究すればするほど、わからなくなるものだということです。

宇宙は、目に見えるようでありながら、よくわからない部分が大きい。東洋医学もそれと同じで、あまり一直線に追い求めてしまうと、独自の世界に入り込んでしまいます。自分の世界に入り込むことは、つまずく結果にもつながりかねません。

私はこれまでの施術を通して、それなりの独自性のある理論を打ち立て、体系化もしてきました。しかしそれはあくまでも、東洋医学の理論をいいところどりしたに過ぎないのです。東洋医学という宇宙を享受し、そのまま実践することが重要です。

あまり細か過ぎるところでつまずいてしまうと、前に進むことができません。疑問に思うことは大切ですが、納得できないままでも前に進む姿勢も大事なのです。

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