志鍼塾 塾長の石丸です。
今回は「五臓五腑から六蔵六腑へ」についてお話したいと思います。
普段、われわれは五臓五腑ではなく六蔵六腑で治療をします。そこで五臓五腑から六蔵六腑へと移行した経緯をご説明したいと思います。
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陰陽五行による五臓五腑
以前、陰陽五行の説明の際に「無」から「陰陽」ができ、それを5つに分けて陰陽五行となったとお話したかと思います。この陰陽五行の「五行」から最初は五臓五腑とされました。五臓五腑とは、「陰」の五臓(肝・心・脾・肺・腎)と「陽」の五腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱)の10個を指します。
三焦が足され五臓六腑へ
この考え方を用いて実際の治療や臨床を積む中でそれだけでは説明できないものが出てきました。そこで従来の五臓五腑に「三焦」が足され、五臓六腑となりました。
三焦とは「上焦・中焦・下焦」の3つに分けられ、目にはみえないけれども機能を表す器官とされています。身近なところでは「酒が五臓六腑に染み渡る」などという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これはその名残です。
五臓五腑に三焦を足し、五臓六腑となったのが今から2200年ほど前といわれています。
さらに心包が足され六蔵六腑へ
五臓六腑では五臓五腑の10個に「三焦」が足され、11個となりました。しかし、11では2でも3でも割り切れず、陰陽のバランス悪くなってしまいます。そのため、さらに「心包」が足され六蔵六腑となったのが今から2000年ほど前の話になるそうです。
曖昧さがもつ利点
この11では割り切れないから「心包」を足してしまおうという理由は、正直なところどうかとも思います。しかし、ここがまた東洋医学のよいところであり、面白いところだとも思います。東洋医学におけるこの曖昧さが境界線を取り払い、治療が可能になる場面は非常に多いです。
西洋医学では検査結果や一定の条件がビシっと当てはまらなければ原因不明とされてしまいます。しかし、東洋医学ではこの曖昧さによって柔軟な対応が可能となり、さまざまな病気に対する治療ができます。
これが東洋医学の利点であり、陰陽の世界観にもつながっていると感じます。何であっても考え方をかえると利点にも欠点にもなり、表裏一体の部分があるわけです。
おわりに
今回は「五臓五腑から六蔵六腑へ」についてお話しました。私は専門家ではないので解釈の違いがあるかもしれませんが、その点はご了承いただきたいと思います。
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