国や保険制度に守られない鍼灸業界をもっと活性化させるために

塾長日誌

鍼灸施術

志鍼塾、塾長の石丸です。本日は、慢性病における鍼灸の施術の有用性について、わかりやすくお話しします。

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西洋医学と東洋医学

通常、病院や医師は、鍼灸師より上に位置付けられています。しかし、私はそうは思っていません。

もちろん、医師免許をとる難易度が鍼灸師免許をとるより圧倒的に高いのは事実ですし、外科や救急救命、細菌感染症、1型糖尿病、透析などの領域では東洋医学よりも西洋医学に優位性があります。

脳出血で倒れた人に、鍼灸や漢方で施術しても何もできません。腫瘍を切除するといった、物理的かつ気質的な処置は、病院が適しています。細菌感染症についても、抗生物質が有利でしょう。

しかし、いったん腫瘍などを取り除いたあと、二度と腫瘍ができない身体作りに関しては、鍼灸師の得意とするところです。さらに、病院では改善できないあらゆる慢性病を改善できるのも、東洋医学の鍼灸です。

慢性病への処し方

日本で総人口の約4分の1に該当する3,000万人が苦しんでいる高血圧も、こうした慢性病のひとつです。

病院は高血圧の人に対して「一生涯薬を飲む必要がある」と通告します。薬を服用するメリットは、脳の血管が破裂するリスクを下げること。つまり病院では、高血圧の原因がわからないまま、脳出血のリスクを抑える対症療法を行っているのです。

一方の東洋医学では、高血圧の原因は血液循環の不全にあると見ます。身体のどこかに血液が行きわたっていないところがあり、それを察知した脳がその箇所にまで血液を届けるため心臓に司令を下す――これによって「血圧が上がる」と考えるのです。高血圧の状態を改善するためにはつまり、血液がいきわたっていないところをなくせばいい。そう考えていきます。

病気をしない身体作りが東洋医学の目指すところ

西洋医学の対症療法にはさまざまなデメリットがあります。

薬で血圧を下げることで、血液循環が悪くなります。血管が詰まりやすくなりますし、脳梗塞が増えます。脳に血が届かないため、認知症になる可能性も増します。その他にも、薬を消化管で消化吸収するために胃が荒れたり、肝臓に負担をかけてしまいます。また、腎臓にも負担がかかります。

その反面、東洋医学では、血圧が下がる身体を作れます。東洋医学が得意とするのは、大きな病気をしないためのプライマリ・ケア。「未病を治す」とも言いますが、患者さんが病気をしない身体作りができるため、慢性病を改善できるのです。

西洋医学は標準治療から離れられない

医師は、国や保険制度に守られています。その中で、標準治療をもとに処方しているに過ぎません。

標準治療というのは、「この病気に対する治療はこれ」と決まっているもののこと。それに沿った治療を行っていれば、患者に何かあったとしても裁判で負けないということです。これは、たとえ標準治療以外に何かしらの治療の可能性があったとしても、教科書通りの治療を行い、訴訟に対応しなければならないということでもあります。

ある精神科医が大腸がんと肝臓がんを宣告され、国立がんセンターで診断してもらったところ、5年生存率はゼロとの結果が出たそうです。その可能性を何とか伸ばせないかといろいろ調べた結果、ゲルソン療法という食事療法が自分に合うのではないかと判断し、それを試したところ、20年たった現在も医師として働いておられる。

その先生のもとには多くの医師が訪ねてきて、自身のがん闘病のためにとゲルソン療法を学んでいるそうですが、そういった医師たちに「あなたは自分の病院でがん患者にどのような治療をするか」と尋ねると、「教科書通りの治療を行う」と答えたそうです。つまり、訴訟対策として標準治療を行うと。

これに対して、ゲルソン療法を始めた精神科医は、「これをもって医師を責めるわけにはいかない」とその著書に書いています。大学の教授や助教授なら出世もある、病院で標準治療以外の治療をして万が一患者が死んでしまったら訴訟問題になる。病院のルールや治療方針から逸脱すると、出世の道が絶たれると。

精神科医はその著書を締めくくりに「今現状では患者さんが賢くなるしかありません」と書いていましたが、私もそう思います。

確かな効果が出せる鍼灸師が集まれば

医師はまず、普通にやっていれば成り立つ職業です。その分、他におかしなことをやっていると、医師というグループからはつまはじきにされる。それが、医師のハングリー精神を奪う原因だと思います。

しかし、私たちのような鍼灸師という職業は、結果を出さなければ成り立ちません。その点で、全く異なります。この厳しさを乗り越えた鍼灸院だけが、存続していく。

鍼灸は、慢性病に関しては確かに効果が出せるのに、国からは全く守られていません。さらに、社会的認知度もとても低いのです。そういった意味でも私は、鍼灸師が医者より上だと思ってきました。

実現するのはなかなか難しいですが、全国の鍼灸師10万人が本当に力をつけ、さまざまな症状を改善できる鍼灸師集団になれば、日本の医療は変わるでしょう。最もマイナーな業種だからこそ、変えられる可能性はあります。

東洋医学の生理学や病理学を理解して工夫できるようになれば、病院で改善が見込めない症状や他の施術院でどうしようもない症状をどんどん改善できるわけです。

この志鍼塾では、いろいろな方面で鍼灸院のハードルを下げつつ、効果を出せるようにしたいと考えています。どういった場所に店を出すべきか、どう宣伝すべきか、どうお客さまに説明すべきかといったことを全て検討したうえで鍼灸院を開業し、経営を軌道に乗せてもらいたいと願っています。

志ある皆さんと一緒に頑張り、その結果、鍼灸業界が伸びることが、私の最終的な望みです。

志鍼塾

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鍼灸師の地位向上と東洋医学の普及を目指し、仲間と共に成長していきましょう。

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