志鍼流!望診のコツ【石丸塾長の解説】

鍼灸師

石丸塾長

志鍼塾 塾長の石丸です。今回は「望診のコツ」についてお話したいと思います。

皆さんもご存じの通り、東洋医学では望・聞・問・切の4つの診断方法を用いて証を立てます。この望・聞・問・切の中から問診を最重要視し、生理学と組み合わせて治療するのが志鍼塾の特徴です。しかし、望診、聞診、切診をしないわけではありません。ここでは望診についてのおおよそのご説明をしたいと思います。

また、望診を極めている方が私の話を聞くと「まだまだ甘いのでは?」と感じるかもしれませんが、われわれ志鍼塾では問診を最重要視し、生理学と組み合わせて治療をしているのでその点はご了承いただきたいと思います。

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望診とは

望診の「望」とは遠くをぼんやりとみるということです。ジーっとみるわけではなく全体の雰囲気をボワっとみるわけです。この全体をみるというのが東洋医学らしいと思います。肩なら肩、腰なら腰をジーっとみるわけではなく、全体をボワっとみるわけです。

望診の流れとしては、患者様と向き合う前にまずは遠くからチラっとみた雰囲気、患者様から出る影を感じます。その後、患者様に実際に近づき全体的な感じをボワっとみるのが望診です。

この望診だけで証を立てられれば、それは最強といえます。しかし、これはなかなかできることではないので、志鍼塾では問診と生理学を組み合わせる方法を推奨しています。

神気存亡論

東洋医学における望診とは神気、いわゆる本能的な生命力や精神状態をみることとされています。ですので、遠くからチラっとみる、全体をぼんやりみるわけです。

張介賓が書いた『景岳全書』の中に神気存亡論というものがあります。ここでは「眼光に精彩があり、言語が清らかで明るく、思考が乱れておらず、肌肉がやせ衰えておらず息遣い、大小便が正常なら予後はよい」とされています。つまり、目がしっかりとしている、言葉に力がある、頭がしっかりとしている、ガリガリに痩せていない、荒い息遣いをしていない、大小便が正常な患者様は予後がよいわけです。望診ではこのような点をみると十分でしょう。

たとえば、機能性ディスペプシアや潰瘍性大腸炎など、西洋医学的な病名や患者様の主訴がAさん、Bさん、Cさんで同じだった場合でも予後を予測するためには望診が役立つわけです。神気存亡論にあった条件が揃っていれば揃っているほどその患者様はよくなりやすいといえます。

望診とさまざまな傾向

望診はこの程度で十分かと思いますが、実際の治療に入るとさまざまな傾向があることにも気づかされます。肝と肺の組み合わせの方は非常に多いですが、肝虚の患者様にはよくしゃべる、眼光がきつい、横からみると目が飛び出しているなどの傾向があります。また、肺虚の患者様は問診表の字が小さいなどの特徴があり、これらもひとつの望診といえます。

ただ、五臓六腑に当てはめられなくてもまずは患者様の精神力や精神状態をぼんやりみることが望診のコツとなります。

雰囲気をみる

たとえば、会社の同僚が歩いている姿をみて「あいつ、今日は元気がないな」と感じることなどは一般の方でもあるかと思います。これも立派な望診であり、このようにボヤっとした雰囲気をみるのが望診となります。

くり返しになりますが、志鍼塾では問診と生理学を最重要視しています。しかし、今回は本編に近いような内容も皆さんとシェアしたいと思い、「望診のコツ」についてお話しました。

参考にできる方はぜひ参考にしてみてください。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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