鍼灸の臨床報告!(40代男性の群発性頭痛について)

鍼灸師

鍼灸施術

志鍼塾 塾長の石丸です。今回は臨床報告として「群発性頭痛」についてお話したいと思います。

群発性頭痛の症状は長く続く目の奥がえぐられるような激しい痛みです。東洋医学であればこの群発性頭痛も自信をもって治せます。私は群発性頭痛の患者様が来院された場合、「100%の自信があります」とお伝えして治療に取り組んでいます。

今回は、群発性頭痛で来院された患者様の症例をお話したいと思います。

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症状と病院での診断

患者様は40代の男性です。患者様には平素より肩こり、腰痛、鼻の不調、花粉症があり、やや赤ら顔でしたがこのような方は多く、とくに珍しくはありません。

この患者様がインフルエンザに感染し、インフルエンザ完治後、もともと鼻に不調があったこともあり副鼻腔炎になってしまいました。副鼻腔炎を発症からしばらくして群発性頭痛の症状が出始め、夜も眠れないほどの頭痛に悩まされるようになったために当院に来院されました。

病院では、インフルエンザ完治後に症状が出た副鼻腔炎が目の方にも悪さをし、群発性頭痛を引き起こしているのではないかとの説明を受けたそうです。これがまさに西洋医学的な世界観です。西洋医学では、部位別にみるため副鼻腔炎の延長で炎症が目の方にいってしまったと考えることはよく理解できます。

東洋医学からみた原因

しかし、われわれ東洋医学サイドでは別の考え方になります。

まず、インフルエンザにかかったということは外から何かに入られたと考えます。東洋医学的な表現をすると外邪に襲われたわけです。そして、インフルエンザの症状は治ったとしても、体内に残る外邪が副鼻腔炎を引き起こし、目の方にも悪さをしているのだと考え鍼治療を行いました。

鍼の結果、翌日には頭痛が激減したとのご連絡をいただきました。結論としては、この患者様の群発性頭痛の原因は邪に入られていたことでした。

インフルエンザに感染したときに邪に入られ、症状がおさまったあともほかの場所で悪さをしているという推測が的中した瞬間でした。西洋医学の医師が考えた副鼻腔炎による影響説は間違いだったわけです。邪を抜く治療によって患者様の群発性頭痛はすっかりよくなりました。

志鍼塾の皆さんはおわかりかと思いますが、肺虚・肝虚証もしくは肺虚・肝実証で治療を行うとすぐに治せる症状です。

そのほかの症状からもわかる原因

そのほかの症状からみても、もともと肩こり、腰痛があるため肺か肝が弱っているのではないかと考えられます。

鼻の不調は肺、大腸、鼻、皮膚とつながっているため肺虚の方に多い症状であり、赤ら顔は肝の昇発作用によって起きやすい症状です。ですので、もともと体質的に肺虚・肝虚証、肺虚・肝実、肺胆相克陽虚証などの五臓六腑では肺と肝が不安定な方が外邪であるインフルエンザウイルス入られてしまったと考えられます。

東洋医学的にいうと六淫に侵され、インフルエンザの症状がおさまったあとも邪が抜けきらずに副鼻腔炎や群発性頭痛を引き起こしたと考えられます。つまり、この邪を抜いてあげることで症状は一気に改善したわけです。

症状を分けて考えない

いつもお話していますが、西洋医学では症状によって扱う「科」が下記のように分けられてしまいます。

  • インフルエンザ → 内科
  • 副鼻腔炎    → 耳鼻咽頭科
  • 群発性頭痛   → 脳神経外科

しかし、東洋医学では体内に入った邪がどこにいったのかをみます。

インフルエンザであれば邪が脾で悪さをしていると考えます。インフルエンザにかかると節々が痛くなりますが、東洋医学では外邪が脾のステージに入ると体重節痛と発熱が起こると考えられています。この外邪が肺にうつると副鼻腔炎、肝にうつると群発性頭痛や偏頭痛を起こします。

西洋医学ではまったく無関係と思われ別の科に分けられる症状ですが、東洋医学ではどこで悪さをしているかの違いだけで原因は体内に入った邪です。ですので、この邪を取り除くことで症状は簡単に治せます。

原因を見極めて治療にあたる

ここが東洋医学のよさであり、目にはみえない東洋医学的な理由が患者様の中に存在した証拠でもあります。われわれは学校で東洋医学だけではなく西洋医学も学ぶので、常に東洋医学的視点と西洋医学的視点の両方で患者様の症状をみなければいけません。

本当に西洋医学的な原因で症状が起こっているのかをしっかりと見極めて治療することが、東洋医学を行うわれわれ鍼灸師の最大の優位性だと思います。私は常に西洋医学的に出ている症状なのか、東洋医学的に出ている症状なのかを確かめつつ患者様の治療にあたっています。

これができることが東洋医学を実践する鍼灸師のすばらしさですが、こういった視点でみられる人は非常に少ないです。

総合診療医の必要性

近年、病院などでも総合診療医を必要とする声があがっています。

先ほどの例のように内科、耳鼻科、脳神経外科などと科を分けることで患者様の本当の状態がわかりにくくなるため、多愁訴の治療はかなり難しいでしょう。また、症状が西洋医学的には不定愁訴だった場合、西洋医学では対処療法のみになってしまうことからも総合診療医が必要とされているわけです。

この総合診療医については東洋医学的な視点をもつことで実現できると私は考えています。

東洋医学をスタンダードに

今回は群発性頭痛の臨床報告をしました。

ほかの経緯で群発性頭痛の症状が出ている患者様でも東洋医学の治療であれば自信をもって治せます。このような東洋医学の治療法が世の中のスタンダードになることを願っています。

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