頻尿の症状を訴える患者の問診に際して大事なこと

塾長日誌

石丸昌志

志鍼塾、塾長の石丸です。本日は、患者が「頻尿」の症状を訴えた場合にどう対処すべきかを詳しくお話しします。

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頻尿=腎虚ではない

患者が「頻尿」の症状を訴えた場合、鍼灸学校の学生などは特に、腎虚の可能性を疑うでしょう。「頻尿」といえば一般的に、ご年配の方が発症しがちな夜間頻尿を連想します。こうした夜間頻尿の場合は、意識がない状態のため、腎虚です。腎臓がどれぐらい機能しているかが、頻尿か頻尿でないかの分かれ目になります。

その一方で、「日中は頻尿なのに夜間はそうでもない」といった方も多数おられます。こうした方は、意識があるときには頻尿なのに、意識がないときには頻尿でない状態です。これは、腎臓の問題ではありません。

東洋医学では、肺虚だと考えます。肺は、「気」をつかさどっています。緊張しがちな場面では、気によって膀胱が過敏な状態になり、日中の頻尿に結びつくと考えるのです。

どのタイプの頻尿なのかを確かめる

当院ではそうした可能性も踏まえ、問診票の「頻尿」の欄に〇がついていた場合、日中の頻尿なのか夜間の頻尿なのかを必ず確かめます。両方の症状がある場合も、夜間頻尿の数がさほど多くなければ肺虚の要素が大きいかもしれません。

また、日中の頻尿でも特に午前中が多い場合、肺虚を疑います。これは、午前の時間帯が色体表で「久しく寝れば肺を病む」とされていて、肺虚の方の症状は朝方表れやすく、活動量が上がるとともに症状も消えていくからです。

また、日中の頻尿を訴える患者に鼻の症状や末端冷え性、皮膚症状などの症状があったり、風邪をひきやすい、咳がよく出る、喉を傷めやすいといった問題があった場合は、肺にかかわる症状があるものと判断できます。この場合も、患者の症状をこまやかにうかがうことで、肺虚だと明確にわかるのです。

患者の状態を正確に把握すること

このように、頻尿=腎虚を疑うのは誤りです。腎虚が頻尿につながるのは、あくまで意識がない状態でのこと。このあたりの仕訳がきっちりできていないと、よい結果に結びつきません。

施術に効果が出るのは、患者の状態をしっかり把握できてこそです。肺虚の方を腎虚と勘違いすれば、施術しても効果があらわれないでしょう。

本日は頻尿をどう判断するかについてお話ししましたが、患者の問診が重要なのは、肩こりや腰痛、生理痛などの症状に関しても同様です。生理痛がひどい場合、それが生理前なのか生理中なのか整理後なのかで全く異なります。

患者の状態を的確に把握できれば、症状の改善に結びつく――志鍼塾ではこの問診についてしっかり指導していきます。

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