治療できない施術が東洋医学の地位を下げる
この70年間で社会保障費は約2,100億円から42兆円と、200倍に増加しました。医療や福祉制度が充実した影響もありますが、西洋医学やケア体制が発達した日本で、これだけの社会保障費が必要になる原因の一端は慢性疾患にあります。
西洋医学は細菌感染症や救急救命・外科・検査を得意としていますが、それでは慢性疾患の根本的な原因にはアプローチができません。それにもかかわらず西洋医学が優位にある理由は、明治維新により文化だけでなく、医学も西洋化したからです。
しかし、慢性疾患の根本原因にアプローチできるのが鍼灸です。ただし、鍼灸は、漢方やマッサージといった東洋医学の手法のひとつとして認知されているだけで、本当の効果を知っている人はいません。
なぜなら、鍼灸師の免許を取得した人の2%しか東洋医学的な鍼灸を実践できておらず、鍼灸では生活が成り立たないからです。生活が成り立たない鍼灸師は、マッサージや整体なども取り入れることになり、鍼灸が他の施術に埋もれてしまいます。
そして、鍼灸の技術や経験が磨かれないため、鍼灸のみで症状を治すことができません。強い言葉ですが、症状を治すことができない鍼灸師が東洋医学の地位を下げているといっても過言ではないでしょう。
西洋医学は先程述べましたように、明治維新により地位が向上しました。つまり、現代で再び東洋医学の地位向上を図るためには、鍼灸師が現代で問題となっている慢性疾患に対して効果のある治療を提供していくしかありません。
実力ある鍼灸師の台頭
東洋医学の地位が低い理由のひとつに、患者様が鍼灸院で症状が改善したと実感できない点が挙げられます。この問題を解決するためには、症状を改善できる鍼灸師の育成が大切です。
現在、東洋医学的な鍼灸会も多数あり、素晴らしい理論・技術のもと実績をあげています。しかし問題点として難解なものが多い為、受講生にとって理論や技術の習得にバラつき出てしまい、再現性を低くしていると感じます。
「志鍼塾」では、ある程度鍼灸の勉強をした人であれば再現できる技術のみを採用し、体系化した治療法を教えています。この治療法は、広範囲な急性症状から慢性症状に対応でき、本当に改善します。
「志鍼塾」の治療体系は再現性が高く、患者様の症状が改善したという手応えが感じられます。この手応えが確信となれば、自信を持って治療を提供できるでしょう。そして受講生の方が自信を持って開業し、日本全国に「志鍼塾」の一大ネットワークを築き、東洋医学の復興が患者自身の健康のためになり、それが国益になる事を広く認知させていきます。
理想の医療とは
近年になって、NHKで東洋医学が取り上げられるようになりましたが、まだまだ東洋医学の地位は低い状況です。そこで、鍼灸師の皆さんが東洋医学をしっかりと実践して、東洋医学の素晴らしさを広めていただきたいと思います。
例えば、昭和40年代は漢方の処方を希望する方が増えました。当時は医学部の必修科目に東洋医学がなかったため、患者様が漢方を希望すると、医師が「じゃあどれにしますか?」と表を見せたという事例もあったそうです。
それから実績やデータが積み重なり、厚生労働省が2001年から医学部でも東洋医学が必修となりました。漢方の地位が上がったことも少なからず影響しているでしょう。
あくまで目指すべき医療は、西洋医学と東洋医学が支え合う医療です。西洋医学は感染症や命に関わる病気を治療し、東洋医学が病名のつかない症状と慢性疾患を治療する関係性こそ、私たち鍼灸師が目指すべき本来の在り方です。患者様の症状を的確に治療できる鍼灸師が、この変化をもたらす鍵となると確信しています。