他の流派との違い

東洋医学

「志鍼塾」が目指す場所

現代の鍼灸治療は大きく次のように分けられます。

日本伝統鍼灸
中医学
現代鍼灸
流行鍼灸

「志鍼塾」が目指す場所を説明するためには、まず位置付けを理解しておく必要があります。

日本伝統鍼灸

「志鍼塾」は、日本伝統鍼灸の一分野である「経絡治療」の影響を大きく受けています。特に脈と腹部をすごく重要視する「経絡治療」は、合理的で効果が目に見えて感じられる治療であり、「志鍼塾」も積極的に取り入れています。

また、中医学とは異なる理論を持ち合わせており、日本人に合わせて成長してきました。

中医学の鍼灸

中医学は中医薬学と臨床経験からなる中国の伝統療法です。「黄帝内経(こうていだいけい)」と「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」を原典として発展してきました。

流派によって患者様を見るポイントや深さは違いますが、日本伝統鍼灸と比べて中医学は理論的なアプローチを重視しています。経験や理論に基づいているため、効果もあります。ただし、日本伝統鍼灸が鍼灸で完結しているのに対して、中医学は漢方など他の治療も併用している点で違います。

現代鍼灸

現代鍼灸は、西洋医学的な側面がある鍼灸で、「現代医療鍼灸臨床研究会」も現代医学的視点から検討すると明言しています。西洋医学が重視される日本で育ったためか、鍼灸師の多くが現代鍼灸を支持する傾向にあります。

ただし、西洋医学的な観点からの分析を主にするということは、原因と症状がはっきりと関係しているものについては素晴らしい効果を発揮しますが、「眠りが浅くて末端冷え性で、風邪ひきやすい」など複合的な症状を訴える患者様には効果的な治療ができません。

「志鍼塾」は、西洋医学で治療ができない症状を全て網羅することを念頭に置いているため、正反対のアプローチをしている鍼灸分野と言えます。

流行鍼灸

鍼灸の中でも特に現代のニーズに合った治療を率先して行う鍼灸です。女性の社会進出に伴って増えてきているストレスによる不妊や、いつの時代でも人気がある美容は人気があり、流行鍼灸はこれらの治療を掲げています。

「志鍼塾」の鍼灸が負担を感じている症状を改善し、健康の維持・増進を目指しているのに対して、流行鍼灸は特にニーズの高い分野に絞った治療を提供しています。鍼灸で得られる効果がはっきりしていますが、流行り廃りがある点が特徴です。

鍼灸分野における「志鍼塾」の立ち位置

陰陽

「志鍼塾」は、西洋医学と相補的な鍼灸を追求する勉強会ですので、西洋医学的な側面を持つ「現代鍼灸」や特定の症状を対象にする「流行鍼灸」とは方向性が違います。

ただし、腸腰筋にアプローチする、坐骨神経痛の患者に対し患部に鍼をするなど、構造医学的要素を混ぜて治療する方がいい場合があります。そうした場面では、一部分でありますが現代鍼灸的要素を採用しています。また、不妊や美容を中心とする「流行鍼灸」ですが、「日本伝統鍼灸」は不妊や美容も含めて包括的に治療ができるため、結果として「流行鍼灸」も提供することができます。

「志鍼塾」の治療体系に大きく影響しているのが「日本伝統鍼灸」の中の「経絡治療」です。「経絡治療」は、脈診と腹診を重要視します。治療効果はとても高いのですが、特に脈診が難解かつ主観的要素が強く診断(証をたてる)のがとても難しいのが弱点です。

「志鍼塾」では、誰でも正しく診断できる様に論理的に体系化しました。その診断に基づいて治療すれば、結果を出す事ができるのです。

「志鍼塾」が標治法を重んじる理由

「志鍼塾」の掲げる目標は以下の3つです。

① 全国で質の高い鍼灸治療を受けられる環境を作ること
② 鍼灸の素晴らしさを広め、東洋医学の地位を向上させること
③ 東洋医学を西洋医学と相補的な治療体系として確立すること

これらの目標を達成するために、優秀な鍼灸師が高め合いながら連携していく必要があります。鍼灸師が質の高い治療を提供する未来を作るためには、まずシンプルな手法でありながらも多くの症状を治し、なおかつ習得しやすい治療体系を確立しなければなりません。

そのため、「志鍼塾」は鍼灸の医術や経験、感性を極めないと効果を発揮しにくい本治法ではなく、理論で会得できる標治法を治療にしっかりと組み込んでいきます。

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